埋蔵文化財がある土地とは?不動産売却におけるデメリットや売却方法も解説

埋蔵文化財がある土地とは?不動産売却におけるデメリットや売却方法も解説

不動産の利用にあたっては、都市計画法や建築基準法などの法律のほか、各種の規定により、さまざまな規制が設定されています。
ところで、文化財保護法により土地利用を規制されている不動産があるのをご存じでしょうか。
この記事では、埋蔵文化財がある土地とは何かのほか、不動産売却におけるデメリットや売却方法についても解説するので、該当する土地を売却予定の方はお役立てください。

埋蔵文化財がある土地とは

埋蔵文化財がある土地とは

日本では、縄文時代の土器など歴史的に価値のあるものが地中から出没するケースがあります。
ここでは、埋蔵文化財がある土地の概要について解説します。

埋蔵文化財とは

土地に埋まっている状態の文化財を総称して埋蔵文化財と呼んでいます。
土器や石器のほか、貝塚、古墳だけではなく、歴史上で重要な建物の跡も該当し、文化遺産保護制度における保護の対象に指定されているのが一般的です。
埋蔵文化財がある土地とは、埋蔵文化財包蔵地を指しており、石器や土器などの遺物のほか、貝塚、古墳などの遺跡が埋まっている可能性がある土地を示しています。
対象となる文化財は、文化財保護法に基づき、文部科学省の通達によって定められており、広い年代にわたる遺物や遺跡です。
1600年頃までのものは原則すべて該当し、江戸末期(1867年前後)までのものであっても、地域において必要と認められた文化財は対象になるでしょう。
また、明治以降の遺物や遺跡についても、その地域において重要と認められるものは対象になります。
対象となる文化財の範囲は広く、毎年9千件ほどの発掘調査がおこなわれており、指定されている地域は全国で約46万か所を数える状況です。
最寄りの地域における指定状況などについては、国の附属機関である奈良文化財研究所が公表している全国遺跡報告総覧によって具体例を確認できます。
ただし、すべての対象地が掲載されているわけではない点に注意しましょう。

工事規制

お住まいの地域の市区町村窓口にて、埋蔵文化財包蔵地の指定を受けている土地を確認できますが、指定されていない土地でも規制の対象となるケースがあります。
調査の必要性などについては、都道府県の教育委員会が判断をします。
指定を受けている土地を工事するときには、施工の60日前までに届け出が必要です。
また、埋蔵文化財包蔵地の付近で工事するときにも、届け出が必要になる地方自治体があるので注意しましょう。
届け出を受けた教育委員会は、慎重工事、立会調査、試掘調査、確認調査、発掘調査の実施を判断して施工者に指示します。
このうち、慎重工事と判断された場合は、工事への影響が少なく済みます。
一方、立会調査や試掘調査になると、何らかの支障が発生し、確認調査や発掘調査を指示されたときには、計画どおり施工するのは難しいかもしれません。
なお、指定されていない土地であっても、埋蔵文化財が出土した段階で教育委員会への報告が義務付けられており、工事は中断を余儀なくされます。

埋蔵文化財がある不動産を売却するときのデメリット

埋蔵文化財がある不動産を売却するときのデメリット

埋蔵文化財包蔵地は、全国で約46万か所もあり、所有地が指定されていないか不安に感じる方もいるでしょう。
ここでは、埋蔵文化財がある不動産を売却するときのデメリットについて解説します。

買い手探しが困難

埋蔵文化財包蔵地においては、土地を利用する際に発掘調査を指示される可能性があるとともに、調査費用を負担しなければならないケースが考えられます。
マイホームを建築するときの調査費に関しては、行政から補助を受けられる場合がありますが、事務所兼用の住宅などになると、土地の所有者が費用を負担しなければなりません。
また、施工する60日前までに教育委員会へ届け出る必要があり、着工できるのは最短でも60日後です。
試掘調査のときは、工事への影響が最小限で済みますが、本格的な調査が必要と判断されると、工事のスケジュールが大幅に狂ってしまいます。
埋蔵文化財がある不動産は利用が難しく、売りに出しても買い手を見つけづらいでしょう。
さらに、マイホームを建てようと思っても、金融機関から住宅ローンを借りられない可能性がある点も大きな問題の一つです。
現金などで売買金額を賄える方は購入できても、住宅ローンを組めなくては売買代金を支払えないという方は多いでしょう。
この点も買い手が見つけにくくなる理由の一つです。

建物の制限を受ける

文化財の状態によっては、建物の形状や構造などに関して制限を受けるかもしれません。
たとえば、2階建てを予定していても、地盤改良ができないことで、平屋しか建てられないおそれがあります。
なお、すでに建物が建築されている場合でも、建て替えにあたっては新築同様に規制を受けます。
更地のままで利用する予定のケースに支障がなくても、思いどおりの建物を建てられないおそれがある不動産を購入する方は多くないでしょう。
建物を制限されるリスクも、買い手が見つけにくい要因の一つといえます。

売却価格が低くなる可能性がある

埋蔵文化財がある不動産は、買い手を見つけるのが難しく、所有者は売却価格を下げなければならないでしょう。
所有者にとって大切な財産であっても、価格を下げなければ、売却が難しい点がデメリットとして挙げられます。
駅前などの一等地や人気のある閑静な住宅地であっても、利用にあたってリスクがある不動産は購入希望者から敬遠されるかもしれません。

埋蔵文化財がある不動産を売却する方法

埋蔵文化財がある不動産を売却する方法

利用しにくい土地を売りに出しても、買い手を見つけるのに苦労するでしょう。
ここでは、埋蔵文化財包蔵地を売却する方法について解説します。

事前調査をおこなう

売りに出す前に事前調査を実施しておくのが重要な対策になります。
指定の状況については、市区町村の教育委員会が管理している遺跡地図や遺跡台帳によって確認できるため、隣接地についても状況を把握しましょう。
指定されていなくても、工事の途中で文化財が発掘される可能性がある不動産については、事前調査を実施したうえで購入希望者へ正確な情報を提供するようにしましょう。
購入希望者からの信頼性を高め、不安を解消することで成約につながる可能性があります。

建物の建った経緯を調べる

指定されているにも関わらず、すでに建物が建築されているケースにおいては、建物が建築された経緯を調べましょう。
建築時に発掘調査がおこなわれており、工事の実施に影響がないと判断されている物件であれば、建て替える際に本格的な調査を求められずに済む可能性が高いでしょう。

重要事項説明書に詳しく内容を記載する

重要事項説明書とは、売買契約を結ぶ前に売主が買主に不具合がある箇所などを示す書類で、売主からの情報提供に基づき不動産会社が作成するのが一般的です。
これには、文化財保護法に関して記載する欄があるため、チェックを入れるだけではなく、必要な手続きや規制の内容などを詳細に示しておきましょう。

買取業者に買い取ってもらう

仲介による売却を進めても買い手を見つけられないときには、買取業者に買い取ってもらう方法があります。
売却価格は相場の6〜8割になりますが、早ければ1か月ほどで決済できるうえに、仲介手数料が発生しません。
売却後に文化財が掘り出されても契約不適合責任を問われず、損害賠償や契約解除を求められない点で安心できるでしょう。

まとめ

自分の所有地が、全国で約46万か所を数える埋蔵文化財包蔵地に指定されているかどうかを把握しておかないと、売却する際に苦労するでしょう。
なお、隣接地の状況も確認し、文化財が掘り出される可能性があるときには、事前調査の実施に関して不動産会社へ相談するのが得策です。
業者に買い取ってもらえば、売却後に文化財が掘り出されても契約不適合責任を問われず、損害賠償や契約解除を求められない点で安心できるでしょう。