送電線が不動産の売却に与える影響はどのくらい?評価額の調べ方も解説

送電線が不動産の売却に与える影響はどのくらい?評価額の調べ方も解説

不動産の上に送電線が通っていると、場合によっては売却活動に影響を及ぼすことがあります。
送電線下にある不動産をスムーズに売却するには、送電線の種類を知り、契約内容などを確認することが大切です。
今回は送電線の種類や送電線が不動産売却に与える影響、不動産の評価を調べる方法について解説します。
送電線下にある不動産の売却を検討している方は、ぜひ参考になさってください。

送電線下の不動産売却!送電線の種類

送電線下の不動産売却!送電線の種類

家の上空に送電線が通過していると、なんとなく災害時に危険があるのではと思う方も多いのではないでしょうか。
それにより買主から懸念され、「不動産売却に影響を及ぼすのでは」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
しかし送電線の種類と電気が送られる仕組みを把握すれば、思い違いをしている部分があることに気が付くはずです。

家庭に送電される仕組みと街中の電圧

日本各地にある水力・火力・原子力発電所から、約数千から2万ボルトもの電気が作り出されています。
そう聞くと高圧で危険に感じますが、それがそのまま家庭に引き込まれるわけではありません。
家庭に引き込まれる頃には、電力は100Vまたは200Vとなるため、低圧の電線に該当します。
これは家の近くの電柱で電圧を下げた結果であり、それ以外の街中に張り巡らされた送電線はほとんど高圧です。
つまり電柱の上にある柱上変圧器によって電圧を下げられるまで、電気はほぼすべて高圧の電線を通っていることになります。

見た目でわかる架空送電設備の構造と種類

架空送電とは、主に鉄塔を使用して高い場所に電線を張り、送電する方法をいいます。
送電線には発電所で作られたばかりの超高圧の電気が流れているため、周りの建物や樹木を避けて設置しなければなりません。
そこで、大きな鉄塔を立てて外部との距離を保ち、人はもちろん建物や樹木などが触れないようにしているのです。
鉄塔をよく観察すると送電線だけではなく、白いものや白くてそろばんの玉のようなものがついていることがわかります。
これは「碍子(がいし)」といい、送電線の鉄塔や電柱の上で電線を支え、電流を絶縁する役目を果たす器具です。
電圧が大きいほど碍子の数も増えるため、高圧かどうかは鉄塔や電柱の碍子の数から見分けることができます。

送電線が通っている不動産が売却に与える影響

送電線が通っている不動産が売却に与える影響

送電線があることで、必ずしもその下の不動産が売却できないというわけではありません。
しかし、不動産売却に関しては、通常では気にしなくて良いはずの制限や影響を受ける可能性があります。

建築制限による影響

高圧電線が近くに走っている場合、建物や樹木などから距離を取る必要があるため、送電線下の土地には建築制限が設けられています。
使用電圧が17万Vを超える場合は高圧線の直下を含む側方3m、使用電圧が17万V以下の場合は3m以上の距離を確保しなければなりません。
ただし、この離隔距離はあくまでも基準であり、電力会社によってはより厳しい基準を定めているケースもあります。
安全のためとはいえ、建物を建てるのにスペースを自由に使えないとなると、買主側にとって大きなデメリットです。
場合によっては、買主が希望する住宅を建てることができず、不動産売却に大きな影響を与える可能性があります。

補償金の影響

土地の上に送電線が通過する場合、土地の所有者に対して電力会社が補償金を支払います。
この補償金は、土地の利用が制約され、不動産の評価が下がることに対して支払われます。
保証金をどのように受け取ったかによって、不動産の売却金額にも影響を及ぼすため注意が必要です。
所有者が補償金を一括で受け取っている場合は、その不動産を購入する買主は補償金を受け取れません。
そのため、一括で受け取った補償金によって、不動産の売却価格を下げることになる可能性があります。
どのように補償金を受け取ったかわからない場合は、電力会社と締結した契約書を確認してみましょう。

騒音の影響

鉄塔や高圧電線が家のすぐ近くにあることで買主が嫌悪感を抱き、値下げするよう交渉してくることがあります。
値下げに応じるかどうかは売主の自由ですが、頑なに拒否をしていると売却のチャンスを逃してしまうかもしれません。
損をしないためには、値下げ交渉をされることを前提に価格を設定したり、この価格までなら値下げしても良いという最低価格を決めたりして、事前に対策しておくことが大切です。
また、電線に強い風が当たった際に生じる風切り音や碍子から生じるジージーという音が売却に影響を与えることもあります。
これらは台風時や通過後によく見られるもので、普段生活する分にはそこまで気になることはありません。
しかし、買主側は物件をなるべく安く購入したいと考えるため、騒音問題の懸念を材料に値下げ交渉をされる可能性があります。

送電線下の不動産の評価を調べる方法と売却前に確認すること

送電線下の不動産の評価を調べる方法と売却前に確認すること

送電線下にある家や土地の評価額を調べる際は、電線があることによる不利益分(阻害率)を考慮する必要があります。
評価額は売り出し価格を決める際の基準となるので、おおまかに阻害率がどの程度になるのか確認しておくと安心です。

不動産の評価基準を調べる際の高圧線下の減価方法

送電線や高圧電線の下にある不動産は、通常の方法で評価された金額よりも減価されるのが一般的です。
国有地の場合は、財務省の定めにより「建物が何もない状態の更地価格の30%」を評価額とするとされています。
更地価格は、国税庁が毎年公開する路線価と土地の面積を掛け合わせることで算出することが可能です。
路線価は国税庁のホームページに掲載されているので、売却を検討する前にチェックしておきましょう。
また、相続税を求める場合は、建築制限がある場合は30%、再建築不可物件の場合は50%の減価率が適用されます。
不動産の評価額はさまざまな要素が関係して決まるため、確実な価格を知りたい場合は不動産会社に査定をご依頼ください。

登記簿謄本で地役権設定登記の内容を確認する

不動産売却前には、売却に影響を与える契約が交わされていないかを確認することも大切です。
たとえば、地役権は建物の建築に大きく関わるので、忘れずにチェックしておきましょう。
地役権とは、自分の土地の利便性を高めるために、他人の土地を利用する権利のことです。
法務局で閲覧できる登記簿謄本を見れば、地役権が設定されているかどうかがわかります。
電力会社は省令で定められた距離以内に建物が建築されては困るので、地役権を設定してその土地の建築に制限を設けます。
送電線があるにも関わらず、地役権が登記されていない場合は、電力会社に契約内容を再確認しなければなりません。

電力会社との間で締結した送電線に関する契約を確認する

地役権を設定しなくても電力会社との間で別途契約を交わし、同じような効力を持たせることが可能です。
これを「送電線架設保持に関する契約」と呼び、この契約が交わされていると、不動産の所有者にお金が支払われているはずです。
当時の土地の所有者が電力会社と送電線に関する契約を結んでいる場合、地役権があるケースと同様に評価額が減価されます。

まとめ

不動産の上に送電線が通っていると建築制限を受けることから、買主から値下げ交渉を受ける可能性があります。
とはいえ、必ず値下げをしなければならないというわけではなく、また送電線があるからといって必ずしも売却ができないわけではありません。
なるべく好条件でスムーズな売却を目指すためにも、評価額の求め方や地役権設定登記の内容を把握しておくことが大切です。