相続した不動産の売却手順は?税金や注意点についても解説

相続した不動産の売却手順は?税金や注意点についても解説

将来的に親族から不動産を相続する予定があるものの、売却に向けた具体的な手続きの流れや、かかる税金について分からずお悩みではありませんか。
複雑な書類集めや遺産分割など専門的な作業が多く、適切な対応を先延ばしにしていると、余計な税金の支払いや親族間での思わぬトラブルを招く恐れがあります。
本記事では、相続開始から売却を完了させるまでの手順をはじめ、譲渡所得税などの計算や節税につながる控除の活用方法、未然に防ぎたい注意点について解説します。
これから不動産を相続してスムーズに売却を進めたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくださいね。

相続不動産を売却する準備と手続きの流れ

相続不動産を売却する準備と手続きの流れ

不動産を相続して売却するには、主に手続きの全体像を把握する必要があります。
まずは、相続から売却までの具体的な手順について解説していきます。

売却前の主要ステップ

相続が発生したら、被相続人が遺言書を残しているか確認し、内容に沿って手続きの順序を整理しましょう。
遺言書がない場合は、出生から死亡までの戸籍謄本などを集め、法定相続人を漏れなく確定することが欠かせません。
そのうえで相続人全員による遺産分割協議を開き、売却予定の不動産を誰が取得するのか、代金をどのように分けるのかを話し合います。
合意内容は遺産分割協議書にまとめ、全員の実印を押したうえで、印鑑証明書と一緒に保管してください。
続いて必要書類を法務局へ提出し、売主となる相続人への名義変更を済ませれば、不動産会社への査定依頼や販売方針の相談へ移れる状態になります。

売却時に必要となる書類

相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本にくわえ、相続人全員の現在戸籍などを用意します。
代襲相続などで関係者が多いと、戸籍収集だけで1〜2か月以上かかることもあるため、早めの着手が大切です。
また、被相続人と相続人の関係を図にした相続関係説明図を添付すると、提出した戸籍の原本還付を受けやすくなるでしょう。
固定資産評価証明書は不動産所在地の市区町村で取得し、登記を申請する年度の最新資料かどうかを確認してください。
登記後に交付される登記識別情報は従来の権利証にあたるため厳重に保管し、売却時の所有権移転登記で売主が提出する印鑑証明書は発行後3か月以内かも確かめておくと安心できます。

媒介契約と売出しの目安

媒介契約は専属専任、専任、一般の3種類で、依頼先や報告頻度を比べて選びます。
専属専任は1社限定で、自分で見つけた買主と直接取引できず、指定流通機構への登録は5日以内、報告は週1回以上です。
一方、専任も1社限定ですが、自分で見つけた買主と取引でき、登録は7日以内、報告は2週に1回以上となります。
一般媒介は複数社へ依頼できる反面、指定流通機構への登録や定期報告の義務はありません。
査定に1〜2週間、会社選びや契約を含め、売り出しまで約2〜3週間を見込むと良いでしょう。
その後は販売に約3か月、契約から引渡しに1〜2か月を想定し、全体で半年を見込むと安心できます。

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売却益にかかる税金の計算と特例の活用法

売却益にかかる税金の計算と特例の活用法

前章では売却までの具体的な手順について述べましたが、気になるのは費用や税金についてです。
ここでは、不動産売却にかかる税金の計算と控除について解説します。

譲渡所得税の計算方法

相続不動産の売却益には所得税と住民税がかかり、2037年までは復興特別所得税も上乗せされる仕組みです。
譲渡所得は、売却代金から取得費、譲渡費用、利用できる特別控除額を引いて計算します。
取得費は購入代金などから建物の減価償却費を引き、譲渡費用は売却時の諸経費です。
ただし、取得費が不明か売却代金の5%未満なら、代金の5%を概算取得費にできるでしょう。
税率は所有期間5年以下で39.63%、5年超で20.315%となり、相続では被相続人の所有期間も通算可能です。
また、相続税を納めた方は、相続開始から実質3年10か月以内に売るなどの要件を満たせば、その一部を取得費へ加算できます。

活用できる控除と特例

相続人自身が住んだ家は、退去から3年を経た年の12月31日までに売れば、最高3000万円の控除の対象です。
一方、被相続人だけが住んだ実家も、一定の要件を満たせば空き家の特別控除を使えます。
対象は原則、1981年5月31日以前に建てられ、被相続人が1人で住み、相続後に使われていない一戸建てです。
また、相続開始から3年を経過する年末までに、1億円以下で売る必要があります。
耐震化か解体が原則ですが、2024年1月1日以降は買主が翌年2月15日までに工事する方法も認められるでしょう。
ただし、相続人が3人以上なら上限は2000万円で、取得費加算と併用できないため、どちらが有利か比較してください。

最新税制と申告の時期

空き家特例の利用には、市区町村長発行の被相続人居住用家屋等確認書を取得し、確定申告書へ添付します。
2019年の改正で、要介護認定を受けて老人ホームへ入った場合も、要件を満たせば対象です。
申請時は電気・ガスの閉栓証明書や施設の入所証明書を揃え、空き家だった状況を示してください。
また、発行に数週間から1か月かかることもあるため、売却後ではなく早めに備えると安心でしょう。
確定申告は売却翌年の2月16日から3月15日までで、売買契約書や領収書などを提出する流れです。
控除や特例には併用できない組み合わせがあるので、売却額や取得費を比べ、有利な方法を事前に検討しましょう。

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相続不動産の売却で起こるトラブルと注意点

相続不動産の売却で起こるトラブルと注意点

ここまで手続きの流れや税金について解説しましたが、売却時の注意点もおさえておきましょう。
最後に、相続不動産の売却で起こりやすい問題について解説していきます。

相続登記の確認ポイント

2024年4月1日から相続登記が義務化され、開始前の相続で名義変更が済んでいない不動産も対象となります。
申請期限は、不動産の取得を知った日や遺産分割が成立した日から原則3年以内ですが、2024年4月1日より前に相続した未登記の不動産は、原則2027年3月31日までに申請する必要があります。
正当な理由なく怠ると10万円以下の過料となる可能性があるため、売却予定がなくても名義を確認してください。
また、被相続人名義のままでは買主へ所有権を移せないので、売却前に相続人への名義変更が必要です。
登記事項証明書では、甲区で所有者、乙区で抵当権などの負担を確かめると安心でしょう。
住宅ローンの残債があれば、金融機関と返済方法を調整し、引渡しまでに抵当権の抹消手続きを進めます。

契約不適合責任への備え

契約不適合責任は、引渡した不動産の種類や品質が契約内容と異なる場合に売主が負う責任です。
たとえば、売却後に雨漏りや構造上の欠陥がわかると、買主から修繕や代金減額を求められる可能性があります。
相続人が住んでいない物件は状態や修繕履歴を把握しにくいため、売却前に建物状況調査を受けると良いでしょう。
この調査では、国の登録を受けた講習を修了した建築士が劣化や不具合を客観的に確認します。
そのうえで修繕の要否を判断し、不具合は価格や条件へ反映させ、報告書や付帯設備表に記載してください。
引渡し後に問題が見つかったら、買主の連絡と現地を確認し、契約に沿って対応を協議することが大切です。

共有名義での売却リスク

遺産分割前の不動産は相続人全員の共有状態となり、物件全体の売却には共有者全員の同意が必要です。
自分の持分だけでも売れますが、買主が限られるため、まず相続人同士で売却方針を揃えると良いでしょう。
単独取得して売る方法や、売却代金を分ける換価分割は、遺産分割協議書へ明記します。
ただし、話し合いがまとまらなければ家庭裁判所へ調停を申し立て、合意できない場合は審判へ進む流れです。
すでに共有登記されている物件は共有物分割調停や訴訟により、現物分割、代償分割、競売などで整理されます。
共有状態を放置すると次の相続で関係者が増えやすいため、早い段階で権利関係を整えてください。

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まとめ

相続した不動産を売却するには、遺産分割協議と相続登記を完了させ、不動産会社と媒介契約を結んで全体で約6か月の期間を見込んで販売活動を進めます。
売却益が出た場合は譲渡所得税がかかりますが、最高3000万円の特別控除などを活用し、翌年の確定申告を正しくおこなうことで税負担を軽減できます。
義務化された相続登記の漏れや引渡し後の契約不適合責任、共有名義によるトラブルを防ぐためにも、早い段階から調査や権利関係の整理をしておくと安心でしょう。

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